Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

イントラデイ概念の要点

ここでは、AMT/マーケットプロファイルのイントラデイで知っておくべき最後の概念を整理する。引き続き Mind Over Markets, 2nd Edition を参照(著作権のある図は省略)。

極値における他タイムフレームの支配

テール(Tails / Extremes)

  • テールは、極値でアグレッシブな買い手/売り手が入り、価格を素早く動かしたときに形成される。
  • テールが長いほど、動きの確信度が高い(有意なテールは少なくとも2つのTPO必要)。
  • 例: その日の高値側のテールは、強い他タイムフレームの売り手が入り、価格を下へ押し下げたことを示す。
  • テールが無いこと自体も重要。極値での他タイムフレーム活動が無い=確信度が低い可能性がある。

レンジ・エクステンション(Range Extension)

  • 他タイムフレーム支配と買い/売りの強さを示す構造要素。
  • 複数時間帯で連続して高値/安値が更新されると、レンジが伸びる。
  • 支配が強いほど、レンジ拡張は頻繁で、プロファイルは細長くなる。
  • トレンドデイでは、他タイムフレームの支配がレンジ拡張と価格推進で明確に現れる。
  • レンジ拡張は、IBの拡張に過ぎないが、それが維持されるかが重要。

プロファイル内部での他タイムフレーム支配

大手機関や商業参加者の役割は、価値から離れた価格での機会を狙うだけではない。多くの長期参加者は毎日必ず行わなければならない業務がある。例として、General Millsは毎朝大量のシリアル箱を供給するため、継続的に市場に参加する。このような微妙で義務的な他タイムフレーム活動は、プロファイルの「ボディ」内で起こる。

これを測る手段としてTPOカウントがある。

TPOとは

  • TPO = Time(市場の調整役) + Price(市場の広告役)で、特定時間に特定価格で売買できる「機会」を意味する。
  • TPOカウントは、形成中のバリューエリアにおける他タイムフレームとデイタイムフレームの不均衡を測る。

不均衡の仕組み

  • 他タイムフレームの買い手と売り手は直接取引しない
  • ローカル(スキャルパー)が中間に立つ。
  • 他タイムフレーム買い手はローカルから買い、他タイムフレーム売り手はローカルに売る。
  • 買い手が多いか売り手が多いかで、ローカルに在庫の偏り(不均衡)が生まれる。

具体例: 立会場面

ブローカーが5.00ドルで100枚売りの注文を受けると、ローカルが買い、別のブローカーに5.02ドルで売る。この差がローカルの利益になる。

しかし理想的に進むとは限らない。売り注文が大量に出ると、ローカルは在庫過多(ロング過多)になる。買い手がすぐ現れなければ、

  • まずは買い気配を下げて売りの流れを止めようとする。
  • それでも止まらなければ、損切り的に売りに回る

別の視点: チケット転売の例

試合前に10ドルで20枚買ったチケットを、当日になって需要が弱く8ドルで売らざるを得ない。これは売り手が多く買い手が少ない状況で、価格は下がってバランスを回復する。

同じことが先物市場でも起きる。テールやレンジ拡張は他タイムフレームの存在を示すが、荒い相場ではバリュー内の微妙な不均衡が重要になる。TPOカウントは日々の不均衡を測る優れた方法である。

TPOカウントの計算方法

  • POC(最も長いライン)を基準に、
  • 上側のTPO合計と下側のTPO合計を比較する。
  • シングルプリントのテールは除外する(意味が明確で、極値分析で考慮済みだから)。

上側のTPO合計は、バリュー上で売りを継続する他タイムフレームの意思を、下側のTPO合計はバリュー下で買いを継続する意思を表す。たとえば32/24なら、上側の売りTPOが32、下側の買いTPOが24という意味で、不均衡の推定となる。

この方法は「バリューエリアを明示的に計算する」ものではないが、シングルプリントを除外することで、暗黙にバリューの概念を含んでいる。

レンジ拡張やテールは極値の支配を示すが、バリュー内の争いはより微妙であり時間がかかる。TPOカウントを追うことで、支配がどちらに傾いているかを測れる。

イニシエーティブ vs レスポンシブ活動

他タイムフレーム参加者が主体的に動いているのか価格に反応しているのかを見極めることは重要である。判断には、当日構造と前日のバリューエリアの関係が使われる。

4種類の活動

  1. イニシエーティブ買い
  2. イニシエーティブ売り
  3. レスポンシブ買い
  4. レスポンシブ売り
  • イニシエーティブ買い: 前日のバリュー内または上での買い。
  • イニシエーティブ売り: 前日のバリュー内または下での売り。
  • レスポンシブ買い: バリュー下での買い。
  • レスポンシブ売り: バリュー上での売り。

重要なのは「価格が下がったからレスポンシブ」ではなく、価格がバリューの下にあるからレスポンシブという点。

例: レンジ拡張とテールの同一性

ピーナッツバターの価格引き下げでイニシエーティブ売りレンジ拡張が起き、その価格(バリュー下)に買い手が反応すれば、レスポンシブ買いテールになる。レンジ拡張とテールは同じ現象の裏表である。

  • セッション最終時間帯のレンジ拡張は、必ずしもテールではない。
  • テールは、少なくとも次の時間帯での拒否で確認される必要がある。
  • 前日のバリュー内のレンジ拡張やテールも、イニシエーティブとみなされる。

日中のバリュー全体も、イニシエーティブ/レスポンシブに分類できる。前日バリュー上のTPOはイニシエーティブ買い/レスポンシブ売り、下側はレスポンシブ買い/イニシエーティブ売り。バリュー内はイニシエーティブ扱いだが、外側ほど確信度は高くない。

トレンド市場とブランケット市場

トレンドとブランケット(レンジ)を理解し、その移行を把握することは最も難しいAMT概念の一つ。理解には市場行動全体とプロファイル知識の統合が必要。ここでは基礎を置く。

定義(辞書的な意味)

  • Trend(トレンド): 一般的な方向への進行、時間と共に検出可能な変化。
  • Bracket(ブランケット): 価格が上下の範囲に「括られて」往復する状態。

AMT的に言えば、トレンドはバリューからの乖離であり、複数日のバリューエリアが時間とともに明確な方向へ移動すること。

ブランケット市場は、上下の境界で挟まれた往復である。

重要な要素

  • トレンドは永続しない。いずれ価格とバリューは均衡する。
  • トレンドは、価格がブランケットから抜けて受け入れられたときに始まる。
  • 多くの専門家は、市場がトレンドなのは20〜30%に過ぎないと考える。

この事実を理解できないことが、多くのトレーダーが稼げない理由の一つ。トレンドフォロー型のシステムは、継続的な値動きが必要であり、ブランケット市場では損失になりやすい。

「トレンドは友だち」という格言は誤解を生む。トレンド相場では確かに利益を得やすいが、常にトレンドフォローだとブランケットで勝てない。相場状態に応じて戦略を変える必要がある。

  • トレンド相場: 少ない操作で放置気味に運用。期待利幅は大きい。
  • ブランケット相場: こまめな対応が必要。上下の極値を意識し、利益は早めに確定

トレンド市場

  • 価値エリアが時間とともに一方向へ動くなら、価格は受け入れられておりトレンドは継続。
  • バリューが重なり始めたり逆方向に動けば、トレンドが鈍化しバランスに向かう可能性。
  • トレンドは他タイムフレームのイニシエーティブによって始まる。
  • 上昇トレンドでは、他タイムフレーム買い手が「安い」と見て参入。やがて参加者が全員買い手になり、買いが枯渇すると上昇は終了し、レスポンシブ売りが入りブランケット化する。

ブランケット市場

  • トレンドはバランス領域で終わる。すぐに反転して逆トレンドにはならない。
  • 上昇トレンド → バランス → 上継続 or 下落。
  • 下降トレンド → バランス → 下継続 or 上昇。

ブランケットでは、買い手も売り手もレスポンシブ。上限に近づけば売り、下限に近づけば買いが入り、価格は往復する。バランス継続か、新トレンド開始かの判断に、極値での受容/拒否の観察が必要。

車購入の例(ブランケットの比喩)

同じ車を買いたい5人が、それぞれ異なる事情・価値観で価格を見ている。ディーラーも利益のために許容価格帯(ブラケット)を持ち、交渉のたびに価格はその範囲で往復する。最終的に全員が同じ車を買うが、支払価格は違う。ディーラーが仲介者として価格帯内で取引を成立させる。

市場でも同じで、バランス状態では参加者が異なる観点(テクニカル、ファンダメンタル、金利、他商品など)で価値を判断し、価格は往復する。情報が分散しているため、あるグループが一時的に優勢になることでブランケットが強調される。

トレンドは見えやすいが、ブランケットは情報が散らばっており判断が難しい。マーケットプロファイルは分散情報を統合するフィルターとして働き、ブランケットの中から強い継続的な動きの兆候を見つけるのに役立つ。

以上がトレンドとブランケットの基本概念である。

署名: Seeking Fair Value