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AMTの基礎とフェアバリュー

オークション・マーケット・セオリー / フェアバリューの考え方

AMTの中核

AMTの中心にあるのは、買い手と売り手のアグレッション(積極性)の不均衡という概念である。市場イベントが参加者の行動に影響することで不均衡が生まれ、その結果、価格は均衡点を探して上下する。

フェアバリュー(Fair Value)

AMTの中心概念はフェアバリューであり、取引が最も効率的に行われる価格帯を指す。この領域では買い手と売り手のアグレッションがほぼ均衡し、比較的狭いレンジ内で安定した取引が行われる。

不均衡な市場(Unbalanced Markets)

市場イベントによって買い手または売り手が優勢になると不均衡が発生する。不均衡な市場では価格が方向性を持って動き、新しい価値領域を探す「ディスカバリー(発見)」フェーズに入る。

均衡した市場(Balanced Markets)

均衡市場はフェアバリュー近辺で価格が推移する状態で、買い手と売り手のアグレッションが調和している。結果として取引量が安定し、ボラティリティは低下する。

AMTとは何か

  • AMTの概念は J. Peter Steidlmayer が開発した。
  • Jim Dalton はSteidlmayerの考えの価値を早期に認め、著書 Mind Over Markets で理論に貢献した。
  • AMTは「市場の主要目的」と「参加者がそれをどのように満たすか」を分解して説明する。

主要な考え方: 金融市場は、日々買い手と売り手が集まる他のオークション市場と同じである。市場は、重要かどうかにかかわらずイベントによって生じる買い手・売り手のアグレッションの不均衡により上下し、やがてアグレッションが弱まり均衡(エクイリブリアム)となる価格を発見する。そこが取引を最も多く成立させるフェアバリューである。

金融市場の目的(2つ)

  1. 双方向オークションのプロセスの中で取引を成立させる。
  2. 資産のフェアバリューを探す。

フェアバリューは、取引の大半を成立させるために必要であり、AMTはこれを供給と需要、そして価格発見のダイナミクスで表す。

双方向オークションとは、「上方向のオークションの終わり」が「下方向オークションの始まり」に続き、逆も同様であるということ。

このプロセスは、マーケットプロファイルやボリュームプロファイルといったツールで表現できる。

  • ベルカーブの形状は、平均から1標準偏差の68%を示す。
  • これがバリューエリア(Value Area)である。

フェアバリューをめぐる基本前提

理論は「フェアバリュー」という単純な前提に基づく。自由市場は必ずフェアバリューを探し、その価格は経済理論の柱である供給と需要によって決まる。フェアバリューとは、買い手が支払ってもよいと考える価格と、売り手が売ってもよいと考える価格のバランス点であり、買い手と売り手が合意する価格である。

市場は複雑で、価格が上がるか下がるかは市場心理の変化やファンダメンタルズの変化に左右される。価格は、トレンドとレンジ(横ばい)をランダムに見えるリズムで行き来する。トレーダーの仕事はこの動きを理解し、少なくとも確率と適切なリスク管理によって市場の非効率を利用することである。

テクニカルトレーダーはチャートや視覚的な技法で市場のリズムを解釈する。ここでAMTの概念が役に立つ。

バランス市場(Balanced Market)

  • 市場がもみ合い(レンジ)のとき、AMTでは市場は均衡しているとみなす。
  • 均衡市場では価格はフェアバリューの周辺で取引される。
  • 価格は、一定のレンジ内で時間または出来高が正規分布する。
  • この正規分布(ベルカーブ)の頂点はPOC(Point of Control)と呼ばれる。
  • POCは、その時点で最も「公正」な価格(バリュー)と解釈される。
  • 価格は時間または出来高に対して正規分布する。

定義: バランス市場=価格がフェアバリューと見なされるレンジ内で推移する市場。

アンバランス市場(Unbalanced Market)

  • 市場がトレンドのとき、AMTでは市場は不均衡とみなす。
  • 不均衡市場では、価格はフェアバリューを探している状態。
  • 価格は一方向に大きく動き(反発は無視)、再び均衡に戻るまで続く。その後、横ばいレンジになる。
  • トレンド相場では出来高が薄く分布し、買い手/売り手のアグレッションにより価格が素早く通過する。

定義: アンバランス市場=価格が速く動き、出来高/バリューが薄く分布するトレンド市場。

現実世界でのAMTの例

より具体的に説明するため、ガソリン価格の例を使う。

  • いまガソリンが 1.39ドル/リットルと評価されているとする。
  • 買い手は安く買いたい。一方、販売店はできるだけ高く売りたい。これは商品・不動産・青果などどの市場でも同じ。
  • 結果として市場は価格レンジを形成し、1.39ドルを中心に上下する。常に1.39で取引されるわけではなく、その周辺で推移する。

価格が 1.59ドルに上がったとすると、買い手は高値を嫌がり、給油を控えたり運転を減らすため需要が弱まる。一方、販売店は高値で売りたいので売りの積極性が高まる。買い手が弱く売り手が強い状態は「不公正な価格」であり、最終的に市場は1.39ドル付近へ戻りやすい。

逆に価格が 1.19ドルまで下がる場合も、同じ力学で最終的に1.39ドル付近へ戻りやすい。

  • この 1.19〜1.59ドルのレンジが、その時点の価値レンジ(バリューエリア)である。
  • 価格が1.39を中心に上下することで、時間または出来高が正規分布し、頂点はPOC(VPOC)になる。
  • この例では1.39ドルがバリュー(価値)とみなされる。
  • レンジの端(1.19、1.59)では滞在時間や出来高が最も少なく、ここは「不公正」とみなされる価格帯。
  • 時間や出来高のベルカーブ分布は、価値が形成された市場の例である。

オークション理論が適用される例

オークション理論は、入札によって資源配分が行われる多くの場面に適用できる。例は次の通り。

  1. 周波数オークション: 政府が通信事業者に電波利用ライセンスを売却。
  2. 国債オークション: 政府が債券や短期証券を発行して財源を調達。
  3. 美術品オークション: コレクターが絵画や彫刻に入札。
  4. チャリティオークション: 寄付目的で物品や体験に入札。
  5. オンラインオークション: eBayやAmazonなどでの取引。

署名: Seeking Fair Value