マーケットプロファイル詳説
マーケットプロファイル: 深掘り
マーケットプロファイルは、価格・時間・出来高のデータを組み合わせ、市場活動を詳細に見せる独自のチャートである。1985年、シカゴ商品取引所(CBOT)のトレーダー J. Peter Steidlmayer によって導入された。一定期間の取引活動(価値)の分布を可視化し、ダイナミクス理解を助ける。
歴史
マーケットプロファイルは、場立ち以外のトレーダーにも透明性を持たせ、新規参加者を呼び込むために考案された。価格だけではなく価格と時間の関係に焦点を当て、より包括的な市場観を提供した点が画期的だった。
主要な特徴
1. Time Price Opportunity(TPO)チャート
- マーケットプロファイルの核。
- 取引日の特定時間帯を文字で表し、通常は30分区切り。
- その時間帯にどの価格で取引されたかを示す。
添付画像
補足: 例では、前日のバリューエリアと当日のイニシャルバランス(最初の丸)をハイライトしており、バランス寄りのオープン後にVAHとVALの間で跳ね返る“教科書的な”動きが見られる。初心者は気にせず、下で詳細を説明する。
2. バリューエリア(Value Area)
- ある期間の取引の70%が行われた価格帯。
- 市場心理や重要水準の把握に不可欠。
3. ポイント・オブ・コントロール(POC)
- その期間で最も取引が集中した価格。
- 市場価値の基準になり、サポート/レジスタンスとして機能しやすい。
4. ベルカーブ分布
- 取引活動の分布がベルカーブ形状になることが多い。
- バランス/不均衡を視覚的に把握しやすい。
5. イニシャルバランス(IB)
- 取引開始最初の1時間で形成される価格レンジ。
- その日のレンジの可能性や方向性の手がかりを与える。
6. AMTとの関係
- マーケットプロファイルはAMTと密接に結びつく。
- 市場をオークションと捉え、需給のバランスへ向かう力を可視化する。
メリット
- 市場理解の向上: 時間・価格・出来高を統合して深く理解できる。
- 重要水準の特定: バリューエリアやPOCなどの重要価格を把握できる。
- 視覚的に明瞭: ベルカーブで活動分布が見える。
デメリット
- 複雑さ: 初心者には情報量が多く難しい。
- 学習コスト: 構成要素の理解と相互作用の把握に時間がかかる。
マーケットプロファイルは機関投資家・個人の双方に価値あるツールであり、歴史と特徴を理解すれば戦略を強化できる。
ここまでは複雑な概念を一部省いて説明したが、次からは重要だが難しい要素にも触れる。
シングルプリントの重要性
マーケットプロファイルにシングルプリント(単一幅のTPO)があると、不均衡の兆候を示す。位置によって呼び方が変わる。
- エクセス(Excess): 市場が大きく不均衡(イニシエーティブ)に動いたときに生じ、価値から離れたことを示す。市場が価値に戻る/離れる局面の構造を示す。
- シングルプリント: ある価格の迅速な拒否を示し、強い買い/売りの領域を示す重要な参照点。
- テール(Tail): プロファイルの高値/安値に現れる日中オークションのエクセス。買いテールは下での強い買い、売りテールは上での強い売りを示す。センチメント、タイミング、反転ポイントの把握に重要。
これらは全て「エクセス/シングルプリント」であり、将来のサポート/レジスタンスとして重要。混乱するなら問題ない。私はエクセスの重要性を繰り返し説明し、他の投稿でも扱う。
イニシャルバランス(IB)の重要性
IBはマーケットプロファイル分析において重要。バランス市場との関係は次の通り。
- IBが前日のバリュー内: 市場がバランスしているサイン。参加者は現行価格に満足し、強い方向性は出にくい。
- IBの広さ: 広いIBは安定、狭いIBはレンジ拡大の可能性。ただし最重要はIBの位置(前日レンジ/バリューに対する位置)。
- 前日のIBと重なる: バランス継続のサイン。レンジ相場になりやすい。
- IBを中心に対称: 供給と需要が均衡。
不均衡市場では、これらと逆の特徴(例: バリュー外に狭いIB、非対称のプロファイルなど)が見られる。
IBの位置に関する補足(噛み砕き)
- バリュー内オープン=受容: 前日のレンジを受け入れている。方向性は弱く、均衡に近い。
- バリュー内オープン後のブレイク=拒否: 前日バリューを拒否し、方向性が出る可能性。
- レンジ内だがバリュー外のオープン: 受容か拒否かはその後の反応次第。
- レンジ外かつバリュー外のオープン: まれで、強い不均衡/イニシエーティブの結果。週明けギャップや自然災害などで起きる危険な状況。
- まとめ: IBと前日バリューの関係が、その日のレンジ潜在性や確信度を推定する鍵。
日中プロファイルの「日タイプ」分類
経験が積まれると、AMTトレーダーは大引け前に日タイプを分類できる。これは確率の高いシナリオ予測と戦略調整に役立つ。深掘りは今後の投稿で扱う。
- Normal Day: 初期に他タイムフレーム参加者が入り、IBが広い。終日バランス寄りの両方向取引。
- Normal Variation Day: Normalに近いが初動は弱く、後半でレンジが拡張。
- Trend Day: 強い方向性と一方向の値動き。他タイムフレームの強い支配。
- Double-Distribution Trend Day: 2つのバランス領域ができ、間に大きな値動きが入る。
- Nontrend Day: IBが狭く、レンジ拡張がない。新情報待ち。
- Neutral Day: 買い手と売り手の双方が強く、IBの上下にレンジ拡張。中間終値ならNeutral-center、端で終値ならNeutral-extreme。
原書には図があるが著作権のため使わない。いずれ自分の例で説明する。現時点では日タイプ名を検索してみてほしい。
ダブル・ディストリビューション・トレンド・デイの例
以下は過去投稿の引用で、EURUSDの連続2日(2024年2月1日・2日)をAMTとマーケットプロファイルで解説したもの。
まず、当時の投稿の導入として、AMTトレーダーに向けての挨拶があり、「今回はトレード後の分析ではなく、同じくらい重要な内容を扱う」として、直近2日間のEURUSDがAMT/MPにどう関係するかを解説すると述べている。引用・教育素材はすべて Mind Over Markets, 2nd Edition に基づき、著作権の都合で原書の図は使わず、先週のEURUSDのプロファイル画像で代替すると明示している。
その上で、いったん一般的な説明を経た後、ダブル・ディストリビューション・トレンドデイの議論へ移る。
Mind Over Markets からの引用要旨(画像は著作権のため自分のチャートに置換)。
トレンド・デイには「通常のトレンドデイ」と「ダブル・ディストリビューション・トレンドデイ」がある。
ダブル・ディストリビューション・トレンドデイ(要旨)
- セッション前半は比較的静かで、参加者の確信は弱く、狭いベースを作る。
- 後半に環境変化が起き、他タイムフレームが「現在の価格は不公正」と判断して積極的に参入し、レンジを大きく拡張する。
- その結果、新たな価格帯で第2のバランス領域が形成される。
- 通常のトレンドデイほどの一貫した自信はなく、大きな動きの後に一度落ち着く必要がある。
構造的特徴(要旨)
- 非常に狭いIBが最初の兆候。ベースが狭いほど、そこを圧倒して素早く次の価格へオークションしやすい。
- 第2レンジはその日中維持されやすく、デイトレに有用な参照点になりやすい。
シングルプリントの意味(要旨)
- 2つのディストリビューションを分けるシングルプリントは、終盤に重要な参照点になる。
- もし後半に価格がそのシングルプリントへ戻り、ダブルプリント化したら、第2ディストリビューションは価値として受け入れられなくなった可能性がある。
2つの分布は、それぞれ市場が価値と認めた価格帯である。間のシングルプリントは「不公正」と認識された価格帯。以下の30分TPOチャートでより詳細に確認できる。
エクセスの教育的説明(要旨)
- エクセスは、価格が価値から大きく離れたときに発生する。
- 市場は買い手を探すために下へ、売り手を集めるために上へとオークションする。
- 市場は「高すぎる/安すぎる」を知るために、行き過ぎる必要がある。
- 他タイムフレームが機会を見て強く参入し、価格を価値領域へ戻すことでエクセスが形成される。
- ダブルディストリビューションの間のシングルプリントもエクセスの一種。
- これらのエクセス領域は、プロファイルの上下端にある買い/売りテールと同じくらい重要である。
- エクセスは将来のサポート/レジスタンスになりやすい。条件が大きく変わらない限り、同じ水準で同様の反応が起きる可能性が高い。
- テールがレンジ推定に使えるのは、この再現性が理由。
EURUSD例の具体的解釈
- 直近の木曜・金曜は、両日とも弱い安値(weak lows)が見られた。
- プロファイル下限に未完了/失敗オークションがあり、これは下限のTPOが二重幅であることから分かる。
- AMTでは他タイムフレーム買いの不在(売り手が優勢)を示す。
標準的なダブルディストリビューション戦略は、
- 第2レンジの安値を買い、
- 第2レンジのエクセス上限を売る、 という考え方。
ただし、成功させるには市場プロファイルとオークション動学の深い理解が必要。
戦略の具体的な考え方
- この状況で安値買いは危険。市場が弱い安値を下へ完了オークションする可能性がある。
- それに対し、第2ディストリビューション上限のエクセス内での売りは高品質のセットアップ(リスクリワード面)になりうる。
- もし価格がエクセスを上抜けたら、価値認識が再び変わった可能性があるため、この戦略は全て撤退する。
- 利確目標はリスク許容度に依存。第2レンジの安値で利確するか、よりリスクを取るなら弱い安値の下まで狙う。
これは「市場は双方向の取引を成立させる義務がある」という前提に基づく。買い手が不足していると判断するなら、市場は買い手を探すためにさらに下へ動く必要がある。
バリューエリアの比較と取引促進度
同じ例(2月2日金曜)で、EURUSDのバリューエリアが前日(およびその前)を完全に包含していた。AMTではこれはより多くの取引を促進している市場と解釈する。逆に、バリューエリアが縮小していれば、取引促進は弱い。
要旨: バリューエリアが前日の中に完全に収まると「インサイドデイ」で、バランス状態。逆に両端で重なる「アウトサイドデイ」はより多くの取引促進を示す。ニュートラル・デイと同様で、中央で終わればバランス、端で終われば勝者がいる。
取引促進が強いなら、次に破られる可能性が高いのは、より近くて弱い極値である。
週明けの観察ポイント
- IBとオープニングレンジは、その日の活動とバランス状態、さらに第2ディストリビューション内で価格が受け入れられているかを即座に判断する手がかりになる。
- これにより、週明けのオープンで下のバリュー形成が続くかを見極められる。
以上。いつも通り、安全第一でトレードを。
署名: MM(MakingMoves)
署名: Seeking Fair Value